白ヴァvs黒ヴァ(ただの落書き)

12月21日はきっと普通のヴァッカリオとダークヴァッカリオが出るのでは!?というフォロワーさんの呟きが面白かったので。突然始まって突然終わる感じの適当な話です。


※終焉の設定とかもう忘れちゃったから全部ガバ設定。結局ゼウスって何で侵略してきたんだっけ……

※黒ウィズ異界の設定もガバ。

 

 

 

 

ヴァッカリオの操る鮮やかなネクタルと対照的に、ドス黒く濁り切ったネクタルが宙を舞い飛ぶ。ヴァッカリオはそれらすべてを叩き落して、目の前の「自分」へと相対した。

「ちょいと話さねえか。別に何か急ぎじゃないんだろ?」

ヴァッカリオがザグレウスを地面に突き立てて挑発するように声を掛ければ、敵は一度肩をすくめてからその肩にザグレウスを担ぎ上げた。

「まあ、急ぎではねえな。ここで時間食って不利になるのはお前らの方だし」
「時間稼ぎで出すかもよ、秘密兵器」
「ねえだろ」

ダセェぜ、見え見えのブラフ、とその男――もう一人のヴァッカリオ、ディオニソスXIIは仮面の向こうで歪な笑みを浮かべた。

悠長に言葉を交わす二人と打って変わって、周囲は悲鳴と怒号、そして爆音が鳴り響いている。ヴァッカリオはちらり、と空に浮かぶ神殿の様な建造物に視線を向けた。暗雲立ち込めるオリュンポリスの中において、その一点だけが異常に神々しく光り輝いている。

ヴァッカリオは耳元のインカムで飛び交う各フォース、各ゴッドナンバーズの言葉にも意識を割きながら、口を開いた。

「前置きなしで悪いんだけど、侵略してきた目的は?」
「ウチの方の世界が手狭になったんでね。似たところを探して入植しに来た」

……人類の歴史上、遥か昔から行われてきた最も「ありきたりな」侵略戦争の理由そのもの。お互いの生存圏をかけた戦い、というわけだ。ヴァッカリオはその言葉を聞いて嘆息する。領土の分割や金銭で和解に持ち込めることもあるだろうが……先手必勝でここまで大規模に攻勢を仕掛けてきたということは、多少の手土産で満足して帰るような連中ではないに違いない。

もしかしたら、もう彼らには帰る場所がないのかもしれない。詳しくは聞いていないが、ウィズと魔法使い、そしてアレイシアが「全異界」を救う旅に出ている。そのタイミングで時空を超えてきたというのだから、何かしら関係はあるのだろう。だからと言って、その内容を調べて聞き出して、詳らかにする時間はなさそうだ。

「こっちからも質問」
「あ?」

難しい顔をするヴァッカリオに、平坦な声がかけられる。とりあえず、顎でどうぞ、と示せば、敵のディオニソスXIIは首を捻りながら口を開いた。

「お前、体治ってんのか?」
「……ああ、おかげさまで、な。まさか、そっちは……」
「いや、俺も治ってる。……一度死んで生き返った?」
「そう。なんだ、お前も同じか?」

ディオニソスXIIは小さく頷いた。そして仮面を取り払う。

仮面の下にあったのは――ヴァッカリオと全く、同じ顔。ただ、その表情は怒りと憎しみに満ちている。

「同じ、ならなんでお前、そんな平気な顔しているんだ」
「はあ? 平気な顔って……別になんもねえだろ。クリュメノスの野郎とドンパチやって、力尽きてぶっ倒れて、冥府でまーたクリュメノスの野郎に叩き起こされて――」
「は?」

ヴァッカリオが半年ほど前のことを思い起こしながら、時系列に話した途中で、ディオニソスXIIの鋭い声が遮る。人が話している途中に、とヴァッカリオは不満そうにディオニソスXIIを睨みつけた。が、ディオニソスXIIは、目を見開いている。

「それだけ、か?」
「ああ、そうだ。俺の知らねえうちに勝手に生き返らされた」
「は……」

ディオニソスXIIが唇を震わせる。片手で顔を覆い、天を仰ぐ。その視線の先、黒い雲を切り裂いて一筋の光の矢が走って行った。ヴァッカリオもつられてその光が、神殿から湧き出た異形の者を貫く瞬間を見届ける。

「お兄ちゃん相変わらず元気だねえ」
「……相変わらず、元気……い、生きて、いる、のか」

突然、ディオニソスXIIがザグレウスを地面に突き立て縋りつくように息を荒げる。敵対しているとはいえ、その異常さにヴァッカリオは片眉をあげて様子を伺った。

「……お前、俺と同じように『死んで生き返った』んだったな?」
「そうだ。……まさか」

ディオニソスXIIは、無造作にシャツを脱ぎ捨てた。鍛え抜かれた肉体が明るみに出る。それはヴァッカリオと同じ姿かたちをしていたが――胸の、心臓がある部分だけが、異なっていた。どくり、と脈打つのは「心臓」

ディオニソスXIIの「心臓」が、体の表面に出ていたのだ。

その異様な光景に、ヴァッカリオは目を見開いて身構える。ディオニソスXIIは鼓動を続けるその外部心臓を、愛おしそうに撫でた。

「俺も『死んで生き返った』。だが、お前とは違う。俺たちは……侵略してきた、ゼウス神達に負けた。クリュメノス……ハデス神にとっちゃ、俺たちが勝とうがゼウスが勝とうが、どっちでも良かったんだろうな」

ヴァッカリオは掛ける言葉もなく、黙っていた。クリュメノスが実際、どう考えていたかは知る由もない。ただ……こちらの世界のクリュメノスは、ゼウスを救うために自分たちをけしかけていた節がある。となると、同じ目的の為に、取った「手段」が向こうの世界ではこちらと違うのかもしれない。

ディオニソスXIIは首を振った。恐らく、ヴァッカリオと同じような事を考えて、同じように「だとしても、終わった今となってはどうでもいいこと」と考え直したのだろう。

「俺が冥府に堕ちた時。その後に……すぐ、お兄ちゃんも堕ちてきた」
「!」
「クリュメノスは、『君が死んだのは僕が介入した運命の尻ぬぐいだけど、アポロニオ君は勝手に死んじゃっただけだからね』と言って……お兄ちゃんの魂を、手元に囲おうとしたんだ」

ヴァッカリオの背筋に、冷たいものが走る。先ほどから、ディオニソスXIIが愛おしそうに撫でて、見つめている「心臓」。自分たちの体格にしては小さく見える。そして、今の話の流れから想像するに……。

「ハデス神と取引、でもしたのか」
「……ああ。ゼウス達も、新たな手ごまが欲しかった。俺はディオニソス神に匹敵するか、場合によっては本人を超えた力を持っているから、そのまま死なせるには惜しい、と。もともと、俺が生き返るのはハデス神の計画通りだからな」
「それで、その心臓……それは」

ディオニソスXIIは頷いた。ヴァッカリオに敵対しているとは思えないほどの、穏やかな笑みを浮かべて。まるで、誰かに聞いてもらいたかったかと言うように。

「お兄ちゃんのだよ。取引をした。俺がゼウス達の手下になる代わりに、『俺たちの』オリュンポリスには手を出すな。それで、手下になるからには全力で、これまで以上に戦いたいから戦力をよこせ、と」
「!!」

それまで、心臓に視線を落としていたディオニソスXIIが顔を上げる。そして、殺意のこもった目でヴァッカリオを睨みつけた。

ヴァッカリオも地面に突き立てていたザグレウスを引き抜き、神剣を構える。同時に、ディオニソスXIIの周囲にいくつもの、冥府の死臭に彩られた黒いネクタルが様々な武器の形をとった。

「ハデス神がよこした戦力は、お兄ちゃんの力だ。命。魂。心臓。……さすがお兄ちゃんだよ、俺の胸の上でも優しく力を分け与えてくれる。……こんな風になッ!」

緊張が高まり続けた空気が、ディオニソスXIIの叫び声と共に一気に爆発する。ヴァッカリオはそれらをすでに予想し、迫りくるネクタル達を叩き落し、回避し、舌打ちした。

「チッ!」
「死ぬまでは神器すらロクに使えなかったが、見ろ! 今じゃあ、神器2つと漆黒神器の、3つ同時起動だってできるッ!」
「!」

まさか、とヴァッカリオが仰け反ったその頬に、一筋の赤い線が走る。その印を去り際につけて駆け抜けていったのは――黒い光の矢。ヴァッカリオが使えるわけもない、アポロニオの得意技、ヒュペリオン・レイ。

「なるほど、ネクタルがドス黒いのもさっきの光の矢がヤベェ色してんのも、漆黒神器のブーストってことか」
「そういうことだ。何しろ……ゴッドナンバーズはほとんど死んじまって、まともな戦力が俺ぐらいしかいねェからな」

面白くなさそうに吐き捨てて、ディオニソスXIIはザグレウスを構えた。ヴァッカリオを挑発するように、片手でちょいちょい、と招く動作をする。

「てめェ……調子乗りやがって……」
「長々話しちまったからな。さっさとケリつけようぜ」
「やってやろうじゃねえか。後で泣くのはお前だ」

ヴァッカリオが大地を蹴り、目にもとまらぬ速さでディオニソスXIIに肉薄する。上段から勢いよく振り下ろされたザグレウスを、ディオニソスXIIは漆黒のオーラを纏ったザグレウスで受け止めた。二本の神剣が、嫌な音を音を立ててせめぎ合う。

体重をかけて押してくるヴァッカリオを、踏ん張って押し返しながらディオニソスXIIが獰猛な笑みを浮かべた。

「こっちは、お兄ちゃんとのタッグなんだ――負けるわけがねえよ、後で泣くのはテメェだ!!」

っていう話
ちなみにこの後、ヴァッカリオが劣勢になるんだけどそこに当然お兄ちゃんがやってきてタッグ組んで撃退するって話です
ディオニソスXIIがちらっと言っていたとおり、「ゴッドナンバーズはほとんど死んでしまって」「ゼウスは手ごまを欲しがってる」って話の通り、今回侵略してきた別時空の漆黒ディオニソスXII達は「強いけど人手が足りない」みたいな感じで、結局撃退されます
お兄ちゃんきっとネーさんとエウさんとタッグ組んで向こうのハデス神ボコッてからこっちに駆け付けてきた、みたいな
向こうの世界のアレス零も闇堕ち済みで襲いかかってくるけど、リベッさんとてんちょ(!)のタッグでなんかこうその時不思議な事が起こった!みたいなノリで撃退する
みたいな

書きながらそんな話を今考えた

その後にもやもや妄想してたんだけど

・黒ヴァの胸にあるお兄ちゃんの心臓
あれは人質的な側面がある。ゼウス達にとってヴァッカリオは超頼りになる戦力なので、勝手に死なれたら困るわけだ。まあもちろん、オリュンポリス全市民の命がかかってるから、ヴァッカリオだって死ぬつもりはないだろうけど。でも、外部にアポロニオの心臓があると思えば、無茶をする頻度も減るし、自らの心臓を止めてもお兄ちゃんの心臓が動くから死ねないし、みたいな。

・結末
基本的にハピエン厨だから大団円になるよ。結局、侵略組が負けるんだけど黒ヴァから事情を聞いたお兄ちゃんがブチギレ般若英雄大戦モードwith終焉パワーでクリュメノスもといハデス神を泣くまでぼこぼこにしてみんなを生き返らせるようにさせていい感じになる(ガバガバの適当

・ヴァッカリオは闇堕ちしないよ
あの人闇堕ちしないよね。お兄ちゃんは英雄大戦で闇堕ちしてたけど。この黒ヴァも敵ではあるけど、「オリュンポリスの人々を守るため」に動いていて、その正義のたもとに「こちらのオリュンポリスの人々」が入らなかっただけ。だから闇堕ちしているわけではなく、仕方なくゼウス達の命令に従ってるだけだし、普通の一般市民に手を出したりはしてない(初手でヴァッカリオを見つけて襲い掛かってるので)

・アレイシアは闇堕ちするの……?
こっちもしないような気はするんだけど、それでもまだ女の子だからね……少女だからね……。案外、ヴァッカリオに説得されて(命を粗末にするな、とか、反撃のチャンスを待て、とか)、同じようにしぶしぶ従ってるだけなのかもしれない

・やっぱりどっちの世界でもゼウスは裸の王様じゃないか!
あんな性格だから部下に恵まれないのも仕方ないね~~~~