オリキャラ副官2名+ネーレイスの小ネタ。正直、ネーレイスより副官ズのほうが目立ってるので、オリキャラ苦手な人は本当に注意です。ほぼオリキャラメイン。
★★★
ポセイドンII就任後、ポセイドンフォースでの内勤初日。ここまではフォース内の設備説明やその他メンバー達との顔合わせに打ち合わせ、英雄庁との「就任の挨拶プロモーション」の打ち合わせに多忙を極めていた。それらがようやく一段落つき、本日、ついにポセイドンIIの部屋ともいえる執務室で仕事をすることになる。
少しばかり胸をときめかせながら、案内してくれる男性副官とともに、執務室の扉をくぐった。はるか昔、子供のころに職場体験として一度だけ、父親に抱っこされて立ち入ったことがある執務室。もちろん、最重要機密が多い部屋であるから、よほどのことがない限りたとえ身内でも立ち入ることは許されない場所だ。
「これは……」
「確か昔、一度だけ来訪されてましたよね? 今回、代替わりするということでこちらの部屋もリノベーションを――」
「くっっっっさ!!!!」
ネーレイスは鼻をつまんで後ずさりし、廊下に出てからそっと執務室の扉を閉めた。
端的に言おう。胸のときめきは一瞬で消えた。臭かった。途方もなく臭かった。鼻がひん曲がって元に戻らないかと思うほど臭かった。
昔、立ち入った時も臭かった覚えはある。でもあの時は父親に抱えられていたし、ちらっと部屋の中を見てすぐにほかの場所へと移動したのだ。今回のように、最初から長時間滞在するつもりで踏み入ったわけではない。
かちゃり、とドアが遠慮がちに開かれ、副官がそっと隙間から顔をのぞかせる。
「ひっ!」
ホラーかと思う出で立ちに、ネーレイスは引きつった悲鳴をあげてさらに二歩ほど後ずさった。
「……臭かったですか」
片目だけを覗かせた副官の口から、ぼそり、と言葉が落ちてくる。ネーレイスは思わず、素直に頷いてしまった。素直に。何しろ、この副官は以前から認識があり、向こうとは家族ぐるみで付き合いがある。故に、ネーレイスはここが職場ということも忘れて、素直に頷いた。頷いてしまったのだ……!
そのネーレイスの頷きを認めた男性副官は、その場で膝から崩れ落ちた。
「だから消臭の予算はもっと割くべきだったんです!!! 壁紙と天井も床も張り替えて、家具も総取り換えしたんです! 消臭アイテムも市販のものを大量に買い込んでみんなで必死に吹きかけたんですが!!!」
その嘆きの声に、ネーレイスはもう二歩ぐらいドン引きして後ずさった。そこまでしてくれたのはありがたいが、では、リノベーションする前はどれほどの臭いだったのだろう……。そう言われてみれば、母に頼んで父と洗濯物を分けて洗うようにしてもらって久しい。思春期特有の、なんて自分でも思っていたが、普通に分けて洗濯してもらって正解だったのでは……?
「……ちなみに、どのように臭いのか伺っても? やはり、たばこですか?」
「……そうですわね」
「……」
「……」
床に四つん這いになったままの副官がじっとネーレイスを見上げてくる。ネーレイスはさらに二歩後ずさった。もう副官とはかなり距離ができている。内勤初日からこんなにも心の距離ができてしまうとは……。
「……正直に言ってください」
「……正直に申し上げますと、たばこと、汗臭さと……あと、おそらく、加齢臭………」
「あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!」
ネーレイスが答えた途端、この世の終わりといわんばかりの断末魔と共に男性副官は廊下に倒れ伏した。ぴくぴく痙攣しているのは目の錯覚だと思いたい。
たばこ臭さはすぐわかった。それから、汗臭さも、まあ職業柄、どことなくわかる。そして加齢臭は……誰とは言わないが身近に30代男性がいて……その手の話題には事欠かなかったのだ。冗談で女傑たちと「加齢臭のサンプル」を匂った時の記憶から、あの強烈な匂いを忘れることもなく嗅ぎ当てたのだ。早く忘れたいネーレイスの記憶の一つだ。
「加齢臭は……盲点でした……」
「そ、そうですか……」
どうやら急所にクリティカルヒットしたらしい。それなりに加齢臭が冗談では済まされない年齢になっている男性副官は死にそうな声で呻いていた。
どうしたものか、と立ちすくむネーレイスの背後から、どたどたと騒がしい足音がする。
「すみません~! 遅刻しました~!」
「あっ! 貴女、そんなに走ったら……!」
「遅刻すると思って走ってきまし……あああっ!!!」
手に山積みの紙の束を持ったもう一人の副官はネーレイスの予想通り、何もないところで何かに躓いて紙の束を宙に放り投げた。
「ちょ……きゃあ!」
ネーレイスの頭の上に、紙吹雪(A4サイズ)が降り注ぐ。
「ああ~~すみません~~~」
「加齢臭……加齢臭は盲点だった……」
前ではまだぶつぶつとつぶやいている男性副官が。後ろでは、わたわたと散らばった紙を拾い上げようとして紙を踏んでつるんとすってんころりんする女性副官が。
「……ポセイドンフォース、大丈夫なのかしら……!」
一番新人で、一番経験が浅くて、それでもトップに据えらえてしまったネーレイスの明日はどっちだ!?
とりあえず、落ち着いて紙を拾い集め、執務室の消臭を業者に頼む、ネーレイスはそう決心したのだった。
ドジッ子女性副官が新任なら、もう片方(そもそも二人設定なのもオリジナルですよ)は先代の頃からいるベテランだろうなって。
そういうところから、「先代ポセイドンIIの副官の後進として配属され任務に励んだ結果、予想以上にポセパパが長期在位になって気づけばおじさんになっていた男性副官」という妄想ができました。
おじさんって書いたんですけど、脳内妄想設定的には40代なのでアポロニオとそんなに変わらなかったり……。でも、ネーレイスからしてみればアポロニオも「昔よく遊んでくれたアポロニオおじさん」ですからね。なんも間違ってないけど脳がバグる。
それはそれとして、この男性副官は普通に(?)家庭持ちです。そろそろ子どもが思春期に差し掛かってきて、難しい年ごろなところに加齢臭パンチを食らってしまったという。
こんな二人に挟まれながらポセイドンIIとして活躍していくネーレイスをみたいです(あまりにもオリ設定がすぎる)
どうでもいいんですが、前ページのとおり「副官」って私のオリ設定なんですよ。公式は「副隊長」。アレヴァン小説を読んでいるとたまーに「副官」って使ってくれている人がいて、浸透してるんだなしめしめウキウキ……とか思ってました。JC後の作品でも「副官」表記を使っている方がいて、ちょっと嬉しくなってしまいましたね。
そんな与太話です。