夏に眠る - 2/2

久しぶりに目を覚ましたアポロニオは、目をぱちぱちと瞬かせてから、真っ先に枕元に置いてあるはずの端末を手に取った。日付は9月23日。今年は冷夏ということで、気温が下がり始めるのも早かったらしい。

約2ヶ月ぶりにアポロンフォースと英雄庁に連絡を入れる。アポロンVIとして生活していた2ヶ月の間に、アポロニオの部屋からはすっかり生活臭が消えていた。

ラフな格好をして、外に出る。まだ暑さは残っていたが、自分が起きた、ということは夏が終わったのだ。短い夏が。

自転車に跨り、向かう先はレンタルした冷凍庫。ヴァッカリオのために作って置いた弁当が収められている。栄養バランスと、育ち盛りの体を考えて考えて、それから毎日食べても飽きないように、アポロニオが眠くなる前に準備した力作だ。

(しかし、今年は作りすぎたな……)

例年通り、念のため、と3ヶ月分作り置きしておいたが、実際は2ヶ月で夏は終わってしまった。少しばかり苦笑しながら、アポロニオは冷凍庫の扉の前に立つ。パスワードはすでにヴァッカリオの端末に送ってあり、いつでも自由に開けるようにしてある。

開いた扉の先には、3ヶ月分の弁当が山になっていた。1つも、減っていなかった。

アポロニオはその山から1週間分の弁当を持つと、背負ってきたリュックに押し込む。それから、端末を操作してクラウド上に置いておいた、ヴァッカリオ宛のモーニングコール3か月分をすべて削除した。再生数はゼロだった。

「やはり、作りすぎであったな……」

アポロニオは弁当を背負うと、自転車をこぎ始める。年内は作り置きの弁当で事足りるだろう。