あのゲーム騒動から数日後。ようやく、事件の事後処理が終わってまとまってきたということで、二人いはもう一度英雄庁に呼び出されて事後報告を受けていた。ちなみに、特別手当と特別休暇はすでに叩きつけてあり、どちらも受理されている。というか、アポロニオがかなり圧力をかけて無理やり受理させたのだとか。
「犯人の少女は入院中、か」
「最後の方でかなり無理に力を使っていたようだからな。それに錯乱もしていたようだし、仕方あるまい」
「ですが、快方には向かっています。来月末には退院できる見通しです」
結局、犯人の少女については、情状酌量の余地が大いにある、ということで禁固刑などにはならず、更生施設の方で厳しいカリキュラムを課せられることとなった。本来であれば重罪ではあったが、家庭環境や未成年であること、実質被害がほぼゼロであること、そして、次期デメテルV候補となれるほどの力であることから、そういう扱いに収まったようだ。
「まだ妹とは会わせるわけにはいきませんが、折りを見て少しずつ面会をして、その上で良き関係が築けるよう英雄庁としても全面的にサポートしていく次第です」
「そうか……両親の方は?」
「そちらも、英雄庁が間に入って現在調整中です。母親の方にはカウンセラーもつけました」
うむ、とアポロニオは深く頷いた。時間はかかるだろうが、少女が受けた心の傷を少しずつ癒し、彼女が望んだ未来と現実の折り合いをつけていってもらうことになっている。
「これから先、少女がどういった人生を辿っていくかはまだ誰にもわからないだろうが、それでもより明るく、幸せな人生を歩めるように全力でサポートをするのが英雄庁の役目だ。これまでの失態、取り返せるようにし頼むぞ」
「は、はい!」
厳しく睨まれて、英雄庁の職員は少しばかり飛び上がった。
事後報告書の資料をもらい、アポロニオとヴァッカリオは会議室を出て静かな廊下を歩く。
「お兄ちゃんさ、本当に丸くなったよね。前だったら英雄庁の職員とか何人かクビ飛ばしてたんじゃない?……あの女の子に対してもさ、普通の大人と同じ裁判にかけていたでしょ」
「ん……まあ、私も良い歳だし……お前からいろいろ教わったということさ」
ところで、とアポロニオはヴァッカリオを振り仰いだ。
「この後時間はあるか?」
「まあ、あるけど……」
「……チャレンジしてみたいクエストがあるんだ、付き合ってくれないか?」
ヴァッカリオはその言葉に、ニヤリ、と笑って「じゃ、二時間で片付けようか」と返すのであった。
なお、その後、二人のアカウントはチート疑惑が大いにかけられ、運営からもう勘弁してくれ、と泣きつかれて凍結されることになるのだが、それはまだまだ未来の話。